04 4月 2024

ボイトレ＆ボーカル・レシピ集｜その・２５「仏造って魂入れず２」

技術を磨くことはとっても大切なことですが、そこにばかりに気持ちがいって肝心の、歌で心を伝える、声に気持ちを乗せることを置き去りにしないように、といったことをお話ししました。たとえば、そのような仏像があるとしたら、それは綺麗に彫られたただの彫刻物であると、そこに心を宿してこそ仏像になるのだと。

これは作品作り、作詞作曲にも言えることです。生徒から歌詞を作ったのでみてくださいと言われます、そんな時に皆さんがよく失敗をしているのが、いかにも歌詞に使われそうな綺麗な見栄えのよい言葉で埋め尽くされていて、結局何が言いたいのかの本質がしっかり書かれていないことが多々あります。昔と違いスマホはじめ活字が身近に使えるようになり一層そんな傾向もあるのかもしれません、いつしか文字を書くことを忘れていきそうな時代ですから。

たとえば何らかのコンテスト的なものに作品を出して、プロの審査員が見たときに見るべきところの、まず最も大きなところは「いかに自分の言葉で書けているか」です。言葉の完成度、文の完成度はその次です。言葉の完成度や文の完成度は、勉強し練習していけばどんどん良くなっていきます。ただ、この１行を見ろというような人の心に突き刺さってくる、ハッとさせられるような１行はそうそう書けるものではない。職業作詞家を目指す方であれば特にそこをしっかり理解していないといけないし、アーティストとして自分が歌う歌を作る時もそうです。それがもし自然に書ける人がいればそれは天からの才能と呼べるものです、その才能を世界は見つけ出そうとしている。作曲においてもそうです、昨今はDTMなるもので誰でも簡単に曲が作れますという時代になりました、たしかに聴いてなんとなくカッコいいものはソフトが提供してくれます。しかしこれもそうですが、人の心に訴えかける、ドキッとするようなメロディやアイデアはそうそう出せるものではない。

皆、自分を削って生み出す、生みの苦しみを持って作っている。でもその大きな原動力は“楽しい”ということ。出来上がった時の達成感・充実感を味わったら、また味わいたいと思い、身を削る。そして成長していく。歌うことと同じです。

歌うこと同様、言葉の綺麗さや、なんとなくの心地よさに甘んじず惑わされず、魂の入った歌詞や曲を作っていきましょう。またそんなことにも触れていきますね。

ボイトレ＆ボーカル・レシピ集

その１「楽しい」がすべての原動力」ボイトレ＆ボーカル・レシピ集｜その１ | カタヤマケイジ Official Website (k-katayama.com)

その２「可能性にフタをしないで」ボイトレ＆ボーカル・レシピ集｜その２ | カタヤマケイジ Official Website (k-katayama.com)

その３「歌詞とキャラの一致性」ボイトレ＆ボーカル・レシピ集｜その３ | カタヤマケイジ Official Website (k-katayama.com)

その４「一日一練」ボイトレ＆ボーカル・レシピ集｜その４ | カタヤマケイジ Official Website (k-katayama.com)

その５「母と子の物語」ボイトレ＆ボーカル・レシピ集｜その５ | カタヤマケイジ Official Website (k-katayama.com)

その６「母と子の物語・続き」ボイトレ＆ボーカル・レシピ集｜その６ | カタヤマケイジ Official Website (k-katayama.com)

その７「ＭＣの苦手な人集まれ」ボイトレ＆ボーカル・レシピ集｜その７ | カタヤマケイジ Official Website (k-katayama.com)

その８「お酒と喉の話とか・・」「喉は生もの」ボイトレ＆ボーカル・レシピ集｜その８ | カタヤマケイジ Official Website (k-katayama.com)

その９「終わり良ければ全て良し」ボイトレ＆ボーカル・レシピ集｜その９ | カタヤマケイジ Official Website (k-katayama.com)